紙に塗布または含浸されている防錆剤は、常温で徐々に気化(昇華)し、その蒸気は密閉された空間をすみやかに充満します。このように固体から液体を経ず直接に気体となる現象は昇華と呼ばれ、身近な例としては防虫剤として広く使われているナフタリンが知られています。この気化した防錆剤は、鉄表面の極めて薄い水被膜中に溶解し、さらに鉄表面に物理的、化学的に吸着し「防錆被膜」を形成します。
この防錆被膜は、鉄を錆の原因となる外気から遮断し錆への変化を防ぎます。この気化性防錆剤による防錆被膜は、膜厚が極めて薄く、鉄表面への吸着力が弱いため、鉄表面に外観上の変化を与えないことはもちろんのこと、鉄地の減少等の変化もないという特長があります。したがって防錆包装後の鉄製品は、表面を洗浄することなく直ちにご使用いただけます。 |