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鉄はなぜ錆びるの?
 金属はなぜ錆びるのでしょう? このことを身近な金属である鉄をとって考えてみましょう。鉄の原料である鉄鉱石は、自然界においては主として鉄と酸素からなる安定した酸化物です。この鉄鉱石から酸素を分離して作られた鉄は、温度、湿度等の環境の影響を受けやすく安定した元の酸化物に戻ろうとします。この酸化物が錆と呼ばれるものです。しかし、鉄を自然の中に放置しておけば必ず錆びるというものではなく、錆びるには空気(酸素)と水の両方が存在することが必要です。ちなみに、鉄片を「乾いた空気中」や「あらかじめよく沸騰させて水中の酸素を追い出した純水中」に浸しても、鉄片は光沢が保たれ錆びないことが認められます。
 鉄は1式に示すように水に接するとイオン化Fe2+し、水の中に溶け込もうとします。 この時、金属中に電子e-が取り残されます。この電子が取り除かれれば1式の反応は進行します。白然界においては、この電子は2式のように水中の溶存酸素によって取り除かれ、水酸化イオンOH-に変化する反応が起きています。この電子を電気的に取り除くのは電気分解であり、水中の水素イオンH+によって取り除くのは酸性水溶液中に おける水素ガスの発生2H++2e2-→H2↑をともなう鉄の溶解です。なお、この水酸化イオンは3式で示されるように鉄イオンと反応して、水酸化第一鉄Fe(OH)2の白濁物となり4式で示されるように、さらに酸化され、水酸化第二鉄Fe(OH)3の赤褐色の沈澱となります。
  この沈澱はコロイド状粒子の集合体をなし、いわゆる赤錆と呼ばれるものですが、鉄表面には密着せず鉄を保護する力がないので、酸素と水とが存在するかぎり錆は進行します。 一方、非鉄金属の酸化被膜のなかには、被膜がち密であり、金属表面との密着性がよく、金属表面を保護するものもあります。たとえば、アルマイトは、アルミニウム表面の酸化被膜を有効的に利用したものであります。


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